この研修会の意義

 「特別支援教育に対応した授業力向上研修会」は、以下のことで悩む先生方のために立ち上げた研修会です。

 ① 発達障がい児や困り感を抱えた子へ、どのように対応すればよいだろうか。

 ② 学級で起こるいじめに対し、どのように対応すればよいだろうか。

 ③ 新型学級崩壊、旧型学級崩壊を防ぐ、またはその状態を立て直すために、どのように

  対応すればよいだろうか。

 ④ ①~③について、特別支援学級と交流学級間の連携、通常学級を含む学校体制はどう

  あればよいだろうか。

 ⑤ 学級のすべての子が安定するための授業は、どうあればよいのだろうか。

 ⑥ すべての子の心が安定する物理的環境や人的環境は、どうあればよいのだろうか。

 ⑦ 幼保小の連携は、どのように進めればよいのだろうか。

 ⑧ ケース会議や医療機関等との連携は、どのように進めればよいのだろうか。

 ⑨ 保護者とどのように連携すればよいのだろうか。

 ⑩ 安定したメンタルを保ち続けるために必要なことは、何だろうか。

 ⑪ 心を安定させるために、どのような仕事術を身に付ければよいのだろうか。

 岩手県内外には、上記のことで悩み、苦しんでいる先生が多くいます。

 そのような先生方に対し、ねぎらい等のいたわりの言葉をかけることはきわめて大切なことです。癒しの言葉になるからです。

 

 しかし、残念ながらそれだけでは根本的な解決にはならないのです。大切なのは、先生方が「幾つもの対応の術をもつこと」なのです。その「幾つもの対応の術」を教えるのは管理職の先生方であり、先輩教師の方々なのです。

 

 山本五十六の有名な言葉があります。

 「やってみせ、言って聞かせて、させてみて、ほめてやらねば、人は動かじ。

  話し合い、耳を傾け、承認し、任せてやらねば、人は育たず。

  やっている、姿を感謝で見守って、信頼せねば、人は実らず。」

 

 管理職の先生方や先輩教師の方々は、「やってみせ」なければならず、「やったことに対し、良し悪しを科学的見地で的確にアドバイス」しなければならず、「教え導いた技術・技能を発揮するのを任せ」なければならないのです。経験則では通用しないのが、今の学級であることは、既に明らかになっています。

 また、怒鳴る、きつく叱るという行為は効果がないということは、科学的にも明らかになっています。「ビシッと言ってやればいいんだ」「怒鳴ってでもちゃんとさせればいいんだ」という行為は、脳に損傷を与える場合もあると医師も認めています。

 

 最近では、ベテランと呼ばれる教師が、次々と学級をまとめられず、悩み苦しんでいるということを聞きます。その事実だけでも、これまでの経験則が通用しなくなっているということが分かります。

 

 では、教師は、どのように立ち向かえばよいのでしょうか。

 

 そのことにも焦点を当てているのが、本研修会です。

 すべての子どもは、未来の日本にとってのかけがえのない財産です。

 そのような大切な子どもたちを教え導く教師とは、なんとすばらしい職業であることかと思います。

 多くの教師が、多くの対応の術を持ち、子どもに対応することで、子どもたちは夢や希望を抱き、学校生活を送ることができます。

 「教師が変われば子どもが変わる。子どもが変われば親が変わる。親が変われば学校が変わる。学校が変われば地域が変わる」ということなのです。

 

 沿岸の地で行われる研修会ですが、岩手県内外の教師の皆さんへ情報を提供する等教育振興にもなる研修会であり、公益性も広域性もある研修会といえると判断しています。

 ですから、どのような環境になってもこの研修会は続けたいという強い思いがあります。